AR本の旅 第3弾 ヴァージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』

AR本の旅「ちいさいおうち」 AR本の旅

AR本の旅をやってみたいという方が連絡をくださいました。帰省する際にどこかに置いてきますというお話からヒントを得て選んだのは、ヴァージニア・リー・バートン作・絵『ちいさいおうち』です。

『ちいさいおうち』で思い出す話

この本はアメリカで1942年に発刊、日本語訳になったのは1954年、親から子供、孫に受け継がれ、3世代~4世代、ずっとずっと読み継がれるていくような絵本です。

祖母も大好きでしたし、母も私もこの絵本が好きです。祖母は手先が器用な人で、『ちいさいおうち』の本の表紙を見ながら、母のためにちいさなおうちセーターを編み、私もそのセーターを着ていたことがあります。

 

ちょっと太ってしまい、今、着たらおそらくピチピチ…

 

セーターなので伸ばせば着られる?「おうち」が平べったくなって笑いはとれるかもしれませんが、大切なので衣装ケースにしまっています。久しぶりにだしてみようかな…?

おうちのおもちゃを制作するにあたり、再度読んでみようと、祖母が持っていた『ちいさいおうち』を探しましたが、何故か見つからなくて、図書館で借りました(汗)

 

昔読んだ本を大人になってからもう一度読んでみる面白さ

「ちいさなおうち」の周りの環境が変化していったことは話の内容から覚えていますが、イラストをまんべんなくじっくり見ると、また違った楽しみがありました。

家がメインなので、人は米粒くらいに描かれています。すごく小さいのに、人物の関係がよくわかり、おうちの住人の成長と年月が経っている様子がページをめくりごとに感じます。

最初は若夫婦と小さな子供たちだったのが、次第に大きくなって、子供が結婚して孫を連れて遊びにきて、若夫婦はおじいさん、おばあさんになっています。おじいさん、おばあさんが亡くなり、家に人がいない様子は煙突からけむりがでていない、外壁の赤い色は、ほこりをかぶったような色褪せた色になり、窓ガラスが割れ、玄関のドアにはバッテンに杭が打たれているところから分かります。

家が老朽化したのとは反対に、何もなかった周りは住宅地になり、次第に高層住宅が建設され、鉄道や地下鉄が走り、人々が前のめりに走っているかごとく通り過ぎていきます。

工業化で失われたもの、自然回帰がテーマだと思いますが、現代では核家族や空き家問題のようにも見えて、50年以上前に描かれた作品でも、時代感とか古さを全く感じません。

ヴァージニア・リー・ヴァートンはどんな人?

リー・バートンは主婦で2児の母親でしたが、家事をしながら自宅で絵本作家として働き、近所に住む女性からデザインを教えてほしいとお願いされ、デザインを学んだことのない主婦20人以上の先生でもあり、テキスタイルデザイナー、グラフィックデザイナーとしても活躍しました。

リー・バートンにとって理想的な働き方だったかどうかは分かりかねますが、リア充に見えるので、先進的な女性だったと思います。

最近知ったことですが、『ちいさなおうち』の原画の表紙は、おうちの玄関の下付近に「HER-STORY」の手書きの文字が書かれてありました。

これは、英語のHistory(歴史)の意味がHis Story(彼の話)からきていることを知ったリー・バートンが、男性だけが歴史を作ったのではなく、女性もまた歴史の主人公であるという意味合いや、色々なことに挑戦出来るというメッセージを込めたかったのではないか?と言われています。

この絵本は、子供たちのためだけではなく、女性への隠れたエールでもあった!?と思うと、世代を超えて読み継がれているメッセージにじんわりしました。

 

AR本の旅「ちいさいおうち」

 

つづく…

この話に関連してまたまた語源の話です。『まめまめくん』ではアートの話をしましたが、今回はデザインです。デザインの語源は、「つづく」という意味の印欧語からきているそうです。

アートもデザインも、興味のある人、専門的に学んだ人の生業であったりしますが、言葉の根底にある動作は「つなぐ」と「つづく」で、どちらも人生においては必要不可欠に感じます。アート思考、デザイン思考、どちらもすでに人間に備わった思考なのかも?と思ったら、「何とつながりたいのか?」「何をつづけたいのか?」シンプルに考えられるような気がしました。

 

前回『まめまめくん』を作ったときに「みんなが知っている本は何だろう…?知っている本は共通言語になるのになぁ」とふと思ったので、この絵本はピッタリです。

『ちいさなおうち』がお引越します。見かけたら、居心地が良さそうなところに、おうちを引越しさせてみてください。